近頃では退職代行という言葉も珍しくなくなり、業者も50社以上と多くなってきました。
Aさん
Bさん
退職代行を利用したいと思っていても、疑問や不安を感じている人も少なくないでしょう。結論からいうと迷うなら労働組合が運営する退職代行業者を選ぶのが一番です。
この記事では労働組合、民間企業、弁護士の退職代行業者それぞれの特徴を明確にし、なぜ労働組合の退職代行業者がおすすめなのか解説していきます。
- 結論:退職代行業者は「団体交渉権」を持つ労働組合か弁護士がおすすめ
- 労働組合運営の退職代行を使うべき人の特徴3つ
- 退職代行に会社と交渉して欲しい場合には、「弁護士」か「労働組合」を確認!
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労働組合・民間企業・弁護士による退職代行業者の違いと特徴をご紹介
退職代行業者は依頼人に代わって「退職の意志を伝える」サービスを行っています。
退職代行業者は大きく3つに分類することができます。
- 労働組合
- 民間企業
- 弁護士
それぞれの業者はできることやできないこと、利用するメリットなどに違いがあります。そのため退職代行サービスの利用を検討する前に「労働組合」「民間企業」「弁護士」の特徴を知っておきましょう。
運営元 | 強み |
---|---|
労働組合 | 条件交渉が可能 |
民間企業 | 低価格の業者が多い |
弁護士 | 訴訟に対応できる |
①労働組合が運営している退職代行業者
労働組合が運営している退職代行業者は団体交渉権を持っています。そのため退職の意志を伝えるだけでなく、弁護士と同じように有給休暇の取得や未払い残業代など退職に関する交渉を行うことが可能です。
さらに退職後に会社が損害賠償請求や依頼人へ連絡を取らないよう、約束を取り付けてくれます。ただし弁護士のように訴訟代理人にはなれないので、万が一会社に訴訟を起こされたとき対応ができません。その代わりに弁護士よりも低価格で利用できます。
②民間企業が運営している退職代行業者
民間企業が運営している退職代行業者は、退職代行の中で最も多いです。ただし交渉権のない「非弁業者」なので、基本的に退職の意志を伝えることしかできません。退職代行業という言葉が広まりつつある今、ほとんどの会社が「退職代行からの退職の申し出」を受け入れてくれます。
そのため「退職の意志を伝えるだけ」の退職代行でも、十分にサービスとしての機能を果たせるのです。最近では民間企業の退職代行業者の中にも、顧問弁護士を設置したり労働組合と提携したりすることで、交渉面でも対応できるようになっている業者も増えてきています。
③弁護士が運営している退職代行業者
弁護士は、「退職代行」という言葉が広まる前から労働者が損害賠償請求する際の業務の一環として退職代行を行っています。法律の専門家なので「退職の意志を伝える」ことはもちろん退職に関する交渉や、会社から訴訟を起こされたときなど全てスムーズに対応可能です。
しかし弁護士の退職代行業者の依頼料は、他の業者に比べて高い傾向がありますので、自分がどのような対応を求めているかを考えてから依頼するようにしましょう。
労働組合が運営する退職代行業者に依頼したほうが良い人の特徴
労働組合が運営する退職代行業者に依頼をおススメする人の特徴は以下の通りです。
- 給与の請求や残業代の請求がない人
- 出来るだけ安く退職したい人
- 退職代行業者が初めての利用で相談を多くしたい人
労働組合の退職代行は、初めての人でも安心して利用できるといえます。詳しく説明してきましょう。
①給与の請求や残業代の請求がない人
労働組合には団体交渉権があるので未払い給与や残業代の支給を「交渉」することは可能です。しかし万が一交渉では解決せず訴訟を起こすことになった場合、労働組合は訴訟代理人になれないため弁護に依頼しなおすことになります。
交渉に応じてくれそうな会社であれば労働組合の退職代行でも十分対応できますが、強気な態度に出てきそうな会社ならば最初から弁護士の退職代行に相談しましょう。
また退職金は法律で定められているものではなく、それぞれの会社の就業規則で決められています。つまり就業規則に退職金の記載がなければ支給はありません。退職金の請求をする前に、必ず「退職金の有無」や「支給条件」を確認しておきましょう。
運営元 | 退職に関する交渉 | 訴訟代理人 |
---|---|---|
労働組合 | 〇 | × |
弁護士 | 〇 | 〇 |
②出来るだけ安く退職したい人
弁護士に比べて労働組合の退職代行のほうが料金相場は安いです。労働組合は弁護士と違って訴訟代理人になれないことが大きく関係しているようです。
Aさん
Bさん
このような不安を抱えている人もいることでしょう。退職代行を利用して退職することは、違法行為ではないので訴えられることはありえません。
仮に損害賠償請求をするにしても正当な証拠を揃えなくてはならないうえ、たくさんのお金と時間がかかります。そのため「辞めたら訴えてやる!」と脅してきたとしても本当に訴えられることはないのです。
しかし依頼人が退職することによって、雇用契約違反を行っている場合は別です。退職によって会社に大きな損害を与えたり他の社員を引き抜いたりすると損害賠償請求の退職になります。ただしこれに関しては、退職代行を利用してもしなくても同じように訴えられることになるでしょう。
さらに労働組合の退職代行業者は有給休暇取得の交渉ができます。有給休暇を取得することで給料をもらいながら転職活動できる期間をつくれますし、退職代行の依頼料がまかなえる可能性もあるでしょう。
例えば日割りの給料が10,000円で有給10日残っていた場合、全て有休を取得できたとすると
10,000円×10日=100,000円
10万円が支給され、退職代行の費用に30,000円かかったとしても有給取得がなかった場合よりも70,000円お得になります。
有給休暇は労働基準法39条で労働者には「取得する権利」が認められており、 週30時間以上、もしくは週5日または年間217日以上の場合、10日間の有給休暇が付与されます。
年次有給休暇の付与日数(無期雇用) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
勤続年数 | 6ヶ月 | 1年半 | 2年半 | 3年半 | 4年半 | 5年半 | 6年半 |
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
また、週30時間未満、且つ週4日以下または年間48日~216日の場合は以下のように有給が付与されます。
週間労働日 | 年間労働日 | 6か月 | 1年半 | 2年半 | 3年半 | 4年半 | 5年半 | 6年半 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
4日 | 169~216日 | 7 | 8 | 9 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121~168日 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10日 | 11日 |
2日 | 73~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
③退職代行業者が初めての利用で相談を多くしたい人
退職代行業者への相談は基本的に無料なので、どこでも料金は気にせず相談できます。しかし民間企業の退職代行は「退職の意志を伝える」だけなので相談できる内容は限られています。
一方弁護士だと相談から断るタイミングを逃して契約することになると、高い依頼料を支払わなければならないことが考えられます。労働組合の運営する退職代行業者なら退職代行としてできるサービスの範囲も広く、弁護士に比べると料金も安いので安心して相談することができるでしょう。
弁護士が運営する退職代行業者に依頼したほうが良い人の特徴
弁護士が運営する退職代行業者に依頼するのがおススメな人の特徴は以下の通りです。
- 退職届の記入を代行してもらいたい人
- 残業代や未払いの給与を請求してほしい人
- セクハラやパワハラを受けていて裁判を起こす予定の人
弁護士の退職代行は会社とのトラブルを解決したい人が依頼すると良いといえます。
①退職届の記入を代行してもらいたい人
退職代行業者が退職届の代筆を行うことは基本的にできません。退職届は辞めたい本人の意志を証明する書類であり、自筆で提出することが大切だからです。そのため退職代行業者の中には退職届のテンプレートの無料配布サービスをしているところもあります。
一方で書類作成の資格がある弁護士は退職届の代筆ができ、郵送することもできます。ただし書類作成は別途料金になる場合がほとんどで、10,000円前後かかることに注意しましょう。
②残業代や未払いの給与を請求してほしい人
労働組合と弁護士が運営している退職代行業者であれば、未払いの残業代や給与、有給などの退職に関する交渉を行うことができます。しかし訴訟を起こす場合に代理人になれるのは弁護士の退職代行業者だけです。未払い給料の回収には時効があるため、なるべく早く回収しなければなりません。
弁護士に依頼すれば必要な証拠の収集や未払い給与の計算、簡易裁判所への申し立てなど必要な手続きを行ってくれます。自分で請求しようと思うと手続きが複雑なだけでなく、証拠がなかなか集まらない可能性が高いです。しかし弁護士にお願いすると会社に必要な資料の「開示請求」をしてくれるので、確実に証拠を揃えることができます。
ただし残業代や未払い給与の請求には別途費用が必要で、着手金として10万~30万円、成功報酬として回収金額の20~30%程度、さらに日当や弁護士の交通費などの実費がかかります。
③セクハラやパワハラを受けていて裁判を起こす予定の人
パワハラやセクハラを相談できるところはおもに以下のようになります。
相談場所 | メリット | デメリット |
---|---|---|
労働局 | ・相談・手続き完全無料
・解決が早い |
・応じる義務がないため、会社に無視される可能性がある
・料金がかかる場合もある ・訴訟はできない |
ユニオン | ・交渉の経験が豊富
・相談無料 ・強気の交渉が可能 ・弁護士より安い |
・訴訟はできない
・依頼料がかかる |
弁護士 | ・交渉でまとまらなかった場合訴訟ができる
・訴訟を起こした場合、金額を引き上げられる |
・報酬が高い
・訴訟になった場合解決まで1~3年くらいかかる |
上の表でわかるように、訴訟ができるのは弁護士だけです。
パワハラなどのハラスメント行為で裁判を起こすには「ハラスメントの具体的な証拠」と「明確な被害の事実」が不可欠です。事実と証拠がないと加害者側がハラスメントを否定した場合、「やった」「やらない」の水掛け論になってしまいます。訴訟を有利に進めていくために証拠集めをしておきましょう。
- 発言の録音データ
- 現場の写真・動画
- メール、LINE、SMS、SNSでの文面のやり取り
- 職場の同僚の証言
- 被害者が作成した業務日誌、日記
- 病院の診断書
またハラスメントの裁判にも別途費用が必要で、着手金として10万~30万円、成功報酬として回収金額の20~30%程度、さらに日当や弁護士の交通費などの実費がかかります。
労働組合運営の退職代行業者は交渉できる?非弁行為について
退職代行業者の中には違法になる「非弁行為」に注意しなくてはいけません。非弁行為とは簡単にいうと「弁護士のみに認められている行為を弁護士以外の者が行うこと」で、弁護士法第72条で「非弁護士による法律事務の取扱い等」を禁止しています。
そして退職代行に関する非弁行為は「報酬を受け、退職に関する交渉まで代行する」ことです。これに違反した退職代行業者には、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられます。
Aさん
ここまでだと労働組合の違法性を疑う人もいることでしょう。しかし労働組合には雇用主と交渉することができる「団体交渉権」が日本国憲法で認められています。そのため合法的に退職に関する交渉を行うことが可能です。
退職代行を利用する前に知っておこう!料金相場
退職代行業者の料金相場は運営元によってかなり差があります。運営元を関係なくみたときだいたいの相場は20,000~30,000円といえそうです。
運営元 | 料金相場 |
---|---|
労働組合 | 25,000~30,000円 |
民間企業 | 10,000~50,000円 |
弁護士 | 50,000~100,000円 |
業者によっては正社員とパート・アルバイトでの料金が違うことがあります。またホームページのトップには10,000円と記載があっても、あれこれとオプションを付けていくうちに高額になってしまうこともあります。
業者選びに失敗しないためにも、相談時に料金システムがどうなっているのか必ず確認するようにしましょう。
料金の支払いは基本的に前払い制です。支払い方法は銀行振込とクレジットカード決済が主要ですが、最近ではキャッシュレス決済に対応している業者もあります。
退職代行は労働組合運営の業者が良い?まとめ
退職代行サービスは大きく分けて「労働組合」「民間企業」「弁護士」の3つがあります。自分がどのようなサービスを希望しているかで、どの業者が合っているのかを検討しましょう。
「退職の意志」を代わって伝えてもらえれば満足ということであれば、低価格な民間企業の退職代行がおススメです。またパワハラやセクハラなどの裁判、未払い給料の請求など法的に会社と争う必要がある場合は、弁護士に依頼するのがいいでしょう。
「有給休暇や退職金の交渉はしてほしいけど、訴訟をするほどでもない」のなら労働組合の退職代行業者に依頼するべきです。労働組合の退職代行業者なら弁護士よりも価格が安いだけでなく、退職に関する交渉が行えるので依頼人の希望通りの退職を叶えることができるはずです。
また料金は運営元によって相場が違うだけでなく、業者によって料金形態が違います。基本料金が安くてもオプション追加によって高額になる可能性もあるので、相談の時に必ず料金システムを確認するようにしましょう。