ボーナスは会社によって異なりますが、年に何度か大きなお金が入ってくるチャンスです。「できることなら貰っておきたい」と考える人が大半でしょう。
しかし職場の人間関係や労働条件が悪いと、「1日も早く退職したい」という気持ちが勝ってしまうこともあります。
今回は今すぐ退職したい!ボーナスまで待てない!という方に向けて、ボーナスの支給条件やボーナスを貰わずに辞めたほうがいいケースなどを徹底解説します。
退職後にボーナスを貰えるかは支給日在籍条項によって決まる
ボーナスに関する規定は、会社の就業規則や労働契約によって異なります。そのためどのような基準でいくらくらいのボーナスが貰えるかは、労働契約を確認すればわかるはずです。
ボーナスに関する労働契約のチェックポイントは、以下のようになります。
- ボーナスの支給額
- ボーナスが支給される時期
- 支給日在籍条項の有無
例えば支給時期が6月と12月の2回ボーナスがある会社の一般的な査定期間は10月~3月、4月~9月です。そこで1回の支給額が基本給の3ヶ月分、基本給が20万円としましょう。
査定期間内にちゃんと働いていれば、6月と12月それぞれに60万円のボーナスが支給されます。しかしここで厄介なのが「支給日在籍条項」です。詳しくご説明しましょう。
支給日在籍条項がある場合、支給日前に退職すると貰えない
先の例を使ってご説明します。4月~9月の査定期間一生懸命働いていれば、11月で退職してもボーナスは貰えるのでしょうか?
それは労働契約の中に「支給日在籍条項」があるかどうかにかかっています。支給日在籍条項とは、「ボーナスを支給する対象者を、ボーナス支給日に会社に在籍している人に限る条項」です。
つまり支給日在籍条項がある会社に勤めている場合、支給日より前に退職するとボーナスはもらえなくなってしまいます。
退職後にボーナスが支払われないことを、不満に思う人も少なくないでしょう。しかしボーナスは査定期間の労働を評価するだけでなく、「今後も我が社で頑張ってください」という期待の意味も込められて支払われます。
すでに退職した人が会社のために頑張ってくれることはないので、支給対象にならないのです。
法律上、ボーナスに関する定めは特にないので会社次第になる
実は法律上「ボーナスを支給しなくてはならない」という定めはありません。つまりボーナスの有無や支給額、支給回数などは全て会社次第になります。
法律の代わりに就業規定や労働契約によって、ボーナスに関する規約を定めています。
終業規定\労働契約書 | ボーナス有の記載あり | ボーナス有の記載なし |
---|---|---|
ボーナス有の記載あり | 貰える | 貰える |
ボーナス有の記載なし | 貰える | 貰えない |
ただし併せて「業績により支給しないこともある」と記載があった場合、会社の業績が悪くなるとボーナスがカットされる可能性もあります。
多くの人はボーナスの支給直後に退職の意志を伝えている
退職の意志を伝えるタイミングはとても難しいですが、多くの人が「ボーナス支給直後」を狙っています。というのも「支給日在籍条項」を定めている会社が非常に多いからです。
退職時期がそんなに変わらないなら、ボーナス支給後に退職したほうが圧倒的にお得ですよね。またどんなに支給日に在籍できたとしても、周囲に退職することを知られているととても気まずい思いをしなくてはいけません。
特に12月にボーナスは年末という区切りの時期なので、退職のタイミングとしても狙い目です。
ボーナスを貰う前でも退職したほうが良いケース
ボーナスが支給される会社に勤めているなら、ボーナスを貰ってから退職するほうが断然お得です。ボーナスや最後の給料、退職金があれば金銭面に余裕ができるので、焦らずに転職活動をすることができます。
しかしボーナスを貰う前でも、退職したほうがいいケースもあります。
ケース①仕事のストレスにより心身共に限界が来ている
一つ目は、仕事のストレスにより心身共に限界がきているケースです。仕事がストレスの場合、心身を回復させるには会社から離れるしか方法はありません。
ボーナス時期や繁忙期など気にせずに、すぐに退職すべきです。「ただの体調不良だから」と放っておくと、うつ病などの精神疾患になるかもしれません。
- 疲れているのに眠れない
- 休んでも疲れが取れない
- 食欲がない
- 頭痛・めまい
- 腹痛・吐き気
- 緊張・動悸
- 何をしても楽しくない
- やる気が起きない
- 突然涙が出てくる
- ずっとイライラする
- 消えてしまいたくなる
症状が悪化させてから退職すると、治療にお金と時間がかかります。目の前のボーナスという収入を得られても、それ以上に治療費がかかったり治療に時間がかかって社会復帰が難しくなったりしたら意味がありません。
ケース②退職後でもボーナスが支給される会社に勤めている
「支給日在籍条項」の定められていない会社なら、査定期間さえ在籍していれば退職後にボーナスを受け取ることができます。
オイトマスタッフ
就業規定に支給日在籍条項がない場合、「査定期間に勤務した期間の割合に応じてボーナスを請求できる」という裁判例があります。
ビクター計算機事件(昭和52年(ワ)2096)
就業規則等の規定あるいは確立した慣行の存在しないかぎり、従業員はその支給対象期間の全部を勤務しなくとも、またその支給日に従業員たる身分を失つていたとしても、原則として支給対象期間中勤務した期間の割合に応じて賞与の支給を受けるものと解するのが相当である。引用元:労働基準法判例検索https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/03343.html
また年棒制のように成果や実績を評価する給料支給の場合、ボーナス支給日に在籍していなくても成果や実績に応じたボーナスの支給を求めることができます。
ケース③ボーナス自体の金額が少ない
ボーナスの金額は法律での定めはないので、会社によって異なります。ボーナスが少ない理由はおもに3つです。
- 成果に対して会社の評価が低い
- もともと決められている金額が少ない
- 会社の業績が悪く、原資が用意できない
いずれにしても、早く退職するに越したことはありません。正当な評価をしてくれない会社に居続けても、今後ボーナスが多くなることは見込めないです。
またもともと決められている金額が少ない場合、そもそも会社は従業員にボーナスを渡す気がありません。いつまでも少ないボーナスで我慢していると、同じ時期に他の会社に就職して友人達に生活面でどんどん差をつけられてしまいます。
業績が悪化している会社はボーナスが低いだけでなく、優秀な人がどんどん退職していないでしょうか?優秀な人は、様々な情報を得るのが早いです。「会社が危うい」ことをいち早く察知して、安全な会社に避難します。
いつまでも今の会社に居続けると、倒産して路頭に迷うことになりかねません。
ケース④上司からのパワハラや職場でいじめを受けている
上司のパワハラや職場いじめなどのハラスメント行為は、今や社会問題になっています。ハラスメント行為を受け続けると精神的に追い詰められて、最悪の場合命を絶つ方もいらっしゃいます。
警視庁の発表によると、令和3年度の勤め人の自殺者数は「健康問題」に次いで「勤務問題」が2番目に多いことがわかっています。
原因 | 人数(人) |
---|---|
健康問題 | 2,183 |
勤務問題 | 1,616 |
経済問題 | 1,150 |
家庭問題 | 1,067 |
男女問題 | 482 |
学校問題 | 3 |
その他 | 411 |
あなたが精神的に追い詰められていても見てみぬふりをしている会社が、今後助けてくれるとは考えにくいでしょう。
あなたの命に比べたら、ボーナスなんて安いものです。最悪の事態に至る前に一日も早く会社から逃げてください。
ボーナスを貰う前に会社を退職する際の流れ
ボーナスを貰う前に退職をするまでの一般的な流れをご紹介します。
自分で辞めたいと言うのが気まずい人は退職代行がおすすめ!
退職を伝えるのは勇気がいります。職場環境に問題がない場合でも退職することがわかると、周りの人の態度がなんとなく冷たくなるというのはよくある話です。
このようなお悩みを抱えているのなら、退職代行がおすすめです。退職代行を利用すると以下のようなメリットがあります。
- 会社に行かずに退職できる
- 上司や会社とやり取りする必要がない
- 即日退職可能
- 退職日の交渉ができる
- 有給取得や未払残業代の交渉も可能
- 「支給日在籍条項」のない会社なら、ボーナス支給の交渉も可能
- 退職書類を確実にもらうことができる
退職代行を使えば翌日から会社に行く必要なし
退職代行を使えば、依頼した翌日から会社に行かなくてもよくなります。ただし確実に成功させるには、退職代行業者選びに2つのポイントがあります。
- 24時間365日対応の退職代行
- 弁護士か労働組合の運営する退職代行
24時間365日対応の退職代行なら、いつでも都合のいいときに相談できます。もし夜中に相談しても、次の出勤日に退職実行してもらうことが可能です。
退職代行業者は業者によって対応できるサービスが異なりますが、弁護士か労働組合が運営している退職代行業者は会社と「交渉」することができます。
もし会社が「退職代行からの退職の意志は受け入れない」といった姿勢でも、法律に則って交渉し即日退職を実現します。
ボーナスを貰う場合、辞めるタイミングは2回ある!
ボーナスを貰ってから退職するタイミング、一般的な会社の場合6月以降12月以降の2回です。しかしもっと緻密に計画すれば、転職先でもボーナスを貰えるチャンスがあります。
ここでは、今の会社と転職先の両方とも6月と12月にボーナスが支給されるケースについてご紹介します。
【6月のボーナスを貰う場合】
4月 | 転職活動開始 |
---|---|
5月 | 内定 |
6月 | 今の会社のボーナスを貰う
退職届を提出 |
7月 | 退職 |
8月 | 転職先入社 |
12月 | 転職先のボーナスを貰う |
転職活動には最低でも2ヶ月かかります。退職と転職先入社をブランクなく行うためには、4月には転職活動を始めておく必要があります。
同じように12月のボーナスを貰うケースも見ておきましょう。
【12月のボーナスを貰う場合】
10月 | 転職活動開始 |
---|---|
11月 | 内定 |
12月 | 今の会社のボーナスを貰う
退職届を提出 |
1月 | 退職 |
2月 | 転職先入社 |
6月 | 転職先のボーナスを貰う |
ただし転職先が予想より早く決まった場合は、ボーナスを待たずに転職することをおすすめします。というのも内定が決まってから入社まで、2ヶ月より長く待ってくれる会社はあまりないからです。
せっかくいい会社から内定をもらえても、ボーナスが欲しいばかりに逃してしまってはもったいないですよ。
ボーナスの支給前に会社を辞めた人の体験談
ここからは実際にボーナスを貰う前に、会社を辞めた人達の体験談をご紹介します。
すぐに退職できてよかったと感じている方もいれば、ボーナスを貰わなかったことで金銭的に苦労したという方もいらっしゃるようです。
体験談①ボーナスを貰わないことを後悔した
年齢:20代
勤続年数:5年
ボーナスを貰わなかったことを心の底から後悔しています。ボーナスは貰う日まで会社にいないと貰えないの知らなかったです。支給される日になっても振込がなかったので、会社に問い合わせてはじめて知りました。「必要な期間働いたんだから、払ってほしい」と言っても無駄でした。ボーナスが貰えると思いこんで服とか買っちゃってたので、親からお金を借りてしまいました。
体験談②すぐ会社を辞めれてストレスから解放された
年齢:30代
勤続年数:12年
きついノルマやサービス残業から解放されました。あるときから疲れてるのに眠れなかったり頭痛がしたりと体調不良が続いて、病院に行ってみたら心療内科に回されました。医師からうつ病と診断され「ゆっくり休んでください」と言われたときはなぜかほっとして涙が出ました。退職してボーナスは貰えませんでしたが、私の場合は待機期間なしで失業手当を貰えたので経済的に困ることはなかったです。今はゆっくり休みながら、転職活動をしています。
体験談③ボーナスや給与がない中の支払いがきつかった
年齢:30代
勤続年数:9年
前の職場は人間関係が悪くて精神的に辛く、もう限界!というときに何も考えずに会社を退職しました。冷静になって考えてみたら、転職先くらい決めておけばよかったです。退職しても光熱費や住民税、国民健康保険などは毎月支払いがやってくるので正直きつかったです。貯金はありましたが、目減りしていくので、不安で仕方ありませんでした。
ボーナスの支給後に会社を辞めた人の体験談
ボーナスの支給を待って、会社を辞めた人達の体験談もご紹介します。ボーナスを貰わずに辞めるよりも貰って辞めたほうが、満足度が高いようです。
体験談①ボーナス支給まで耐えるのがしんどかった
年齢:20代
勤続年数:6年
私は退職代行を利用して退職しました。12月のボーナスまで3週間というところまできていたんですが、上司のパワハラをこれ以上耐える勇気がありませんでした。それに退職を伝えたら何されるかわからなかったので…。退職代行に相談したら、有給を使ってボーナス支給日まで退職日を延ばしましょうと言ってもらえました。それから退職日まで一度も会社に行かなかったので、不安でしたが、ボーナス支給日にはちゃんとボーナスが入金されて、給料日にも給料が入っていました。もっと早く相談していればよかったです。パワハラに耐えた日々は本当にしんどかったです。
体験談②資金的には余裕を持って転職活動に望めた
年齢:20代
勤続年数:4年
私の勤めていた会社はとにかく忙しくて毎日ヘトヘト、転職活動なんてする気力もありませんでした。私よりもずっと余裕のある働き方をしながら、給料もボーナスもたくさんもらっている友人達を見ていると、本当に羨ましくて、退職に踏み切りました。散々こき使われたんだから、貰う物は貰って辞めました。おかげでいろんな求人を見ながらゆっくりと転職活動をすることができました。残業ナシ休日出勤ナシなのに、前よりいい待遇で働く事ができています。
体験談③ボーナスで旅行に行ってストレスを発散できた
年齢:20代
勤続年数:5年
退職したら旅行へ行くことをモチベーションに、ボーナス支給日まで頑張りました。貰ったらこっちのもの。怒られない程度に業務や引継ぎをこなして、旅行の計画を考えて退職日まで楽しく過ごすことができました。うちの会社、ボーナスだけはよかったので、会社を辞めて時間もお金もある状態で1ヶ月かけて、寺社仏閣巡りを日本全国あちこち渡り歩きました。明日から仕事だ、とかあんまり遅くなると仕事で疲れるな、とか考えなくていいので、いいストレス発散になりました。
退職したくてボーナスまで待てない!まとめ
退職したくてボーナスまで待てないという人は、本当に今すぐ辞めたほうがいいのか立ち止まって考えてみましょう。
心身共に限界がきていたりパワハラで悩まされたりしていないのであれば、ボーナス支給日まで頑張ってみませんか?
もしどうしても「耐えられない」のであれば、退職代行を利用を検討してください。退職代行なら依頼した日から会社に行かず、ボーナス支給日以降に退職日を延ばすことも可能です。